近年人の高齢化に伴って、伴侶動物である犬や猫も高齢になってきています。
高齢になると歯の病気や認知障害のほか腫瘍も多く見られるようになります。
犬種毎の発生頻度の高い腫瘍
犬種毎の発生頻度の高い腫瘍
犬では、皮膚周囲の腫瘍(30.9%)が一番多く、2番目に消化器系腫瘍(18.4%)、3番目に乳腺腫瘍(18.0%)が多く認められます。
犬種別では、ゴールデン、ラブラドール、マルチーズ、パグは皮膚周囲の腫瘍が多く(★:P<0.05)、シュナウザー、シーズーは消化器系腫瘍が多く(★:P<0.05)認められます。乳腺腫瘍は、キャバリア、ダックス、マルチーズ、パピヨン、プードル、ポメラニアン、ヨーキーなどの小型犬で多く(★:P<0.05)認められます。
出典:J.Vet.Med.Sci. 78(8): 1269-1275, 2016
犬種別の良性腫瘍と悪性腫瘍の比率
犬種毎の良性腫瘍と悪性腫瘍の比率
犬種毎に良性腫瘍と悪性腫瘍の発生比率を表しました。
青のグラフは良性腫瘍の比率、赤のグラフは悪性腫瘍の比率を表しています。
ヨークシャーテリア、マルチーズ、プードル、シーズー、ダックスでは良性腫瘍の比率(★:P<0.05)が高く、ラブラドール、コーギー、柴犬、シェルティ、チワワ、ビーグル、バーニーズでは悪性腫瘍の比率(★:P<0.05)が高いです。
出典:J.Med.Sci 78(8):1269-1275,2016
老齢・認知症
近年では、伴侶動物も長寿になり12歳以上の高齢犬も多く見かけるようになりました。
高齢化に伴い、心臓病・腎臓病・内分泌疾患などに加え認知症もよく見かけます。
行動の変化、失禁、夜鳴きなど今までとは違う変化が現れた場合は、一度診察にお越しください。
脱毛・皮膚病など
最近、フケが多い、かゆがる、毛が抜けるなどの皮膚の症状が目立ってきたら皮膚病のサインです。
皮膚病の原因は、ノミ・ダニなどの外部寄生虫や細菌性のもの、食物アレルギー、ホルモンの影響、またはそれらが複合したものまで様々です。
近年、フードやおやつの多様化などによりアレルギー性皮膚炎やアレルギー性外耳炎なども多くなってきており、内服や外用による治療だけでなく食生活の改善も必要になる場合も多くあります。
皮膚のかゆみだから少し様子を見ようと簡単に考えずに、まずはご来院ください。
歯石
日頃から口の中や歯の状態をよく見てあげてください。
口臭などが気になるようであれば、歯石がたくさん付いている可能性があります。
赤丸の部分は歯石が付いている箇所です。黄色の矢印は正常な歯の色なので、歯石の付いている歯と比べてみてください。
歯石は、歯肉炎や様々な病気の原因となりますので、早めに除去してあげましょう!
口腔内腫瘍
口の中にも腫瘍が出来ることがあります。
常日頃から口の中や歯の状態を観察していれば、口腔内腫瘍の早期発見に繋がります。
歯石予防のためにも歯みがきをしてあげましょう!
肛門周囲腺腫
肛門周囲腺腫は肛門のまわりにできる腫瘍です。
大部分は良性の腫瘍ですが、早めに処置をしないとかなり大きくなってしまいます。
なかには悪性のものもあり、見た目での判断は危険ですので、きちんと病理検査をすることをお奨めします。
赤矢印、青矢印ともに肛門周囲腺腫です。
乳腺腫瘍
犬の乳腺腫瘍の約50%が悪性腫瘍と言われております。
悪性の乳腺腫瘍は、肺や脳などにも転移することがあり死亡率の高い腫瘍です。日頃からお腹を触ったりしていれば早期発見できる腫瘍なので、スキンシップを行い健康管理に役立ててください。